惣さん

イルカ・スウィムに連れていってくれたのは宿まるいの信郎さんの兄、“惣さん”こと第五惣栄丸の広瀬惣次さん。すこし時化って木の葉のようにへにゃへにゃ踊る惣栄丸を軽やかな手さばきで操り沖へ出る。

惣さんと凪ちゃん
惣さんと凪ちゃん。この撮影の後、初めて惣さん流猛烈イルカ・スウィムを体験することになるのです。まだ余裕の表情してる凪ちゃんです。

島の南側へ回ってほどなくしてイルカの一群を発見。 でも、

惣さん−「だめだめ、ヤツらはお休みモードだから他の遊んで欲しくて寄ってくる一群を探しに行くぞ!」

凪−「へえ。」

惣さん−「お休みモードは半目開けて漂ってるだけだからだめだめ、ほらほら、あっちから寄ってくるのが見えるだろ」

凪−「へ?どこどこ」

惣さん−「いいか、11時の方向から来るから左から入って9時の方向へ泳いで行け、ほら早くしろっ!」

凪−「へっ、まだフィン履いてないっ!」凪ちゃん1人だけ遅れをとる。

惣さん−「あーだめだめ行っちゃった、次の探しに行くぞ、みんな早く船に上がれー!」

みんな−「ちきちょー、おしかった!」

凪−「うへー、ちょと気持ち悪い...」凪ちゃんは船酔いで万事休す。

ってな具合です、毎回。 毎回船酔いでほとんど船上の片隅に引っ込んで時々海上に胃の中のものを撒いたりなどして過ごしていた凪ちゃんは、最後の1回頃になると漸く船酔いにもへこたれなくなり、吐いた後でも潜れるような体力が養われたようです。

ここでの1回というのは、“船を1回海へ出す”の意でして、1回はだいたい2,3時間だったかな、その中で10本くらい、絶叫してしまうほどベストなタイミングでイルカの中に落としてくれます、惣さんは。

島の南側
島の南側は険しく切り立ち、低く垂れ込めた雲から生れる豊かな水がその崖を滝となってあちらこちらを伝っていた。 谷間の深いもやは何かもののけの存在をひた隠す聖なる地を優しく包んでいるように見えた。

夏のシーズン中は、常時イルカ目的の船が十数隻あくせく動き回っているのだけど、惣さんの予想はすばらしくいつも的中し、いとも簡単に遊んでくれるイルカさんのもとへ一番乗りで連れていってくれるんです。

凪ちゃんは残念ながらそのペースに追いつけなかった!でもこの体育会系スパルタンX特訓のお陰で後のモルディブ逃亡でその屈辱を晴らすことになるのであります。



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